かつて日本国内では美容医療に関してネガティブなイメージが浸透していましたが、2019年頃から女性の間で心理的ハードルが低下しています。それに伴って美容医療を提供する施設が年々増加し、市場規模が拡大傾向です。美容医療の定番といわれているボトックス注射を取り入れている人も少なくありません。しかしながらボトックス注射に危険性はないのでしょうか。
ボトックス注射のデメリットや副作用
ボトックス注射は歴史が古く、美容医療の中でも安全性の高い施術として知られています。とはいえ筋肉組織に薬剤を注入する医療行為のため、デメリットや副作用が皆無ではありません。それでは具体的にはどのような症状が出るのか解説します。
アレルギー反応が稀に出る
注入された薬剤の成分や注射針の刺激に身体が反応し、腫れ・赤み・かゆみが生じることが稀にあります。また注射後に施術部位を何度も触ったり、マッサージしたりすると、内出血が起きやすいです。いずれの症状も特別な処置が必要なく1~2週間以内に自然に落ち着きます。しかし注射に伴う反応が顔に出ると外出時に気を遣わなければならず、精神的ストレスが大きいです。尚、症状が長引く場合には感染症や体調不良の疑いがあるため、早急に担当医師に相談しなければなりません。
顔に違和感
ボトックス注射には筋肉の動きを抑制する作用があります。そのため人によっては筋肉を誰かに引っ張られているような違和感が一時的に生じますが、1~2週間ほどで症状が消失するケースが一般的です。但し施術部位に合わせてボトックス注入量が調整されていなければ、顔の左右のバランスが崩れるなどの異常が起きます。とくに額や眉間など目の周囲は表情筋が複雑に組み合わさっているため副作用のリスクが高まりやすいです。
肌がたるむ
加齢や老化によって皮膚の弾力が低下している人はボトックス注射によって筋肉が急激に弛緩しやすいです。とくに額の周囲に副作用が出やすく、少量のボトックスを注入しただけで筋肉がたるみ、まぶたの位置が低下する場合もあります。数週間から数カ月後に自然に回復しますが、異変が起きている間は不安で仕方ないでしょう。
頭痛や倦怠感
ボトックスを注入した部位の筋肉が弛緩すると、その代償によって周辺の筋肉に負荷が生じることがあります。筋肉が本来と異なる動き方をすれば、身体のバランスにゆがみが生じるため、軽度の頭痛や倦怠感など一時的に不調をきたすリスクが高まるでしょう。また注射による局所的な反応や恐怖心によって頭痛を発症する人もいるようです。
咀嚼力の低下
あご周辺の筋肉に注射をおこない、すっきりとしたフェイスラインに整えるエラボトックス治療では、一時的に咀嚼力を低下させる副作用が伴います。そのため煎餅やリンゴのような硬い食べ物を噛みにくくなり、食生活においてストレスを感じやすいです。また口を自由に動かせず、従来のように喋れなくなる恐れもあるため注意しなければなりません。その一方であご周辺の筋肉の緊張の緩和により食いしばりや歯の摩耗を阻止できるというメリットもあります。
効果の発現が緩やか
ボトックス注射は主にシワ・多汗症・フェイスラインの改善に利用されていますが、施術して直ぐに効果が発現しません。一般的には1~2週間が経過した頃に注射の効果が顕著にあらわれます。周囲に気づかれることなく自然に症状の改善を望めるメリットがあるものの、すぐさま悩みをどうにかしたいと思っている人は満足できないでしょう。
効果が一時的
ボトックス注射の効果は半永久的に持続するわけではありません。3~6カ月ほどで効果が薄まり、元の状態に戻るケースが一般的です。ゆえに効果を維持するためには定期的に受診して注射を打たなければなりません。ギャルモデルの伊藤桃 整形や、女優の高畑淳子さんなど、ボトックス注射を定期的に接種していると公言している芸能人は多いです。
費用が嵩む
効果を長期にわたって持続させるためには、時間と労力だけでなく、潤沢な資金も欠かせません。なぜならボトックス注射は保険が適用されないことが多いため。自由診療の場合には費用が全額自己負担となり、注射を1カ所に打つたびに約1万円かかります。施術1回あたりの相場はエラボトックスが5~10万円、シワ改善が1万8000~4万円です。悩みの症状によって注射を継続するうちに生活が窮屈になるのではないでしょうか。
打ちすぎるとどうなる?
ボトックス注射には幅広い用途がありますが、やみくもに打って良いわけではありません。ここからは打ちすぎによってどのような現象が引き起こされるのかを解説します。
表情が不自然になる
ボトックス注射にはシワの発生を抑える成分が含まれており、その効果があまりにも強く発現してしまうと表情筋の働きを低下させる恐れがあります。ゆえに注入量や頻度を誤って打ちすぎてしまえば、思い通りに顔の筋肉を動かせません。顔面が引きつる、上手く表情を作れないといった状態に陥りやすいです。タレントのはるな愛さんはボトックス注射を受けた翌日、まったく笑顔を作れないほどに顔の筋肉が緩み、最悪の事態を経験したのだとか。
老けた印象になる
あごから頬にかけて形成されている咀嚼筋の一種・咬筋は、ボトックス注射の打ちすぎによって萎縮する危険性大。萎縮が起きると頬の皮膚がたるみ、老けた印象に一変します。たいていの人が時間の経過に伴って元の状態に戻るものの、鏡を見て気づいた瞬間のショックは計り知れません。尚、皮膚の弾力やバリア機能が低下している人は回復に多めの時間が必要です。
ボトックスの耐性がつく
人間の身体は薬剤を頻繁に取り込んでいるうちに、その成分を分解・排除する抗体の生成が活発化します。ボトックス注射を打ちすぎた場合も同様です。注射の耐性がついてしまうと、本来よりも効果の持続期間が短くなるなど、効き目が薄くなる可能性を懸念されます。但し長期間にわたって繰り返し打ち続けていたとしても、医師が注入量と頻度を厳格に管理していれば、人体に悪影響が起きる確率は低いはずです。
まとめ
ボトックス注射は身体への負担が少なく安全性の高い美容医療として知られています。万が一、副作用が出ても2週間ほど経過した頃に自然に回復するケースが一般的。しかしながら医師の技術不足などによって残念な結果になる場合もあるため、ボトックス注射を検討した際には下調べが大切です。クリニックの美容医療の実績や、使っているボトックス製剤について十分に確認しておかなければなりません。





